妊娠中には健康な赤ちゃんを育むために様々なホルモンが分泌されます。エストロゲンはその中の一つで、妊娠の時期によって分泌量が変化します。

妊娠による体の変化

妊娠による体の変化はお腹の赤ちゃんの為に必要なことですが、お母さんにとっては不快な症状、辛い症状は少なくありません。

眠気と倦怠感

ホルモンバランスの変化で妊娠初期には昼間でも眠くなったり、常に疲労感に付きまとわれたりします。

悪阻と妊娠悪阻

悪阻の原因は明確には究明されていませんが、悪阻がおこる原因の仮説として受精卵や急激なホルモンバランスの変化に対する拒絶反応、自律神経のバランスの乱れなどがあげられます。また、急激に動いて流産してしまうことを回避させる為に、活発な行動ができないような体調にする為という説もあります。

悪阻は誰にでもあることなので、心配することはありませんが、悪阻の症状が悪化してしまい、脱水症状や栄養代謝障害を起こしてしまう妊娠悪阻になった場合には、注意が必要です。

気持ち悪さや嘔吐が続くために、食べ物や飲み物を受け付けることができなくなった結果、栄養代謝障害が発症し、さらに肝機能障害、多臓器不全、脳障害といった重篤な合併症へとつながる恐れがあります。

血液増加

お腹の中の赤ちゃんに栄養と酸素を届けるために、妊娠中は血液の量が増えます。血液量が増加するとともに心拍数も上がるので、お母さんの心臓には負担がかかることから、動悸がすることもあります。また、血液慮の変化で気道の粘膜が腫れ、鼻が詰まりやすくなることもあります。

息切れ

横隔膜が子宮に圧迫されて呼吸がしにくく、息切れしやすくなってしまうことがあります。

むくみ

子宮が大きくなるにつれて、脚がむくみやすくなります。これは大きくなった子宮に血管が圧迫され骨盤周辺から下半身への血液が循環しにくくなる為です。

頻尿

妊娠中は血液量が増加するため、腎臓が通常よりも活発に働くこと、膀胱が子宮に圧迫されることから、頻尿になります。

おりもの

おりものが増えます。白っぽい色のおりものであれば心配ありませんが、臭いや色が変化した場合には注意が必要です。

乳房

授乳に備えて徐々に大きくなり、痛みが出る場合もあります。

関節痛

分娩に備えて骨盤を開きやすくする為、全身の靭帯を緩める働きのあるホルモンが分泌されます。その為、関節が不安定になることから腰痛、股関節痛、肩こり、膝や足首胃の痛みなどが起こることがあります。

抵抗力の低下

私たちの身体には、外部から細菌やウィルスが体内に侵入することや、侵入してしまった場合にそれらの細菌やウィルスを撲滅させようとする免疫力が備わっています。その働きのおかげで、私たちの身体は守られているのですが、妊娠中には免疫力が赤ちゃんを攻撃しないように、その機能が低下します。

その為、身体の抵抗力が低下し、風邪やインフルエンザなど、あらゆる感染症に感染しやすく、さらに感染症を発症した場合には重症化しやすくなってしまいます。

エストロゲンの働き

女性が妊娠し、無事に赤ちゃんを出産するまでの期間には、妊娠を維持するために様々なホルモンが分泌され、それぞれが重要な役割を担っています。その中の一つがエストロゲンです。

妊娠の準備、妊娠の維持のために分泌される女性ホルモン

女性の身体をコントロールする女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。この2つのホルモンが、バランスを取り合って10代のうちから妊娠に備えての体作りをし、妊娠の状態を維持するための働きをしています。

全般的なエストロゲンの働き

エストロゲン(卵胞ホルモン)は、女性らしさを作るホルモンとも言われるホルモンで、女性が一生付き合う大事なホルモンのうちの一つで、自律神経のバランスを保つという働きをします。

自律神経は、心臓の鼓動を速くする、血圧をあげる、発汗させるなどの状態にして身体を活性化させる交感神経と、血圧や脈拍を下げる、動向を収縮させるなどの状態にして身体を休息させる働きをする副交感神経から成り立っています。この2つの神経のバランスが良い状態に保たれていると、健康な身体、質の良い睡眠、安定した精神状態を維持できます。また、自律神経には内臓の機能を維持する、内臓からの情報を抹神経に伝えるという働きもあり、内臓を健康に保つ働きもしています。

その他には、肌や体中の粘膜に潤いを与える、脳の血液の循環を促し記憶力や考える力を高める、血管が硬くなったりコレステロールが増加したりすることを防ぐなどの働きがあります。

妊娠、出産に備えてのエストロゲンの働き

妊娠すると、分泌が一気に増加し、子宮内膜をふかふかにして、受精卵が着床しやすい状態にし、その後は胎児が心地よく育つような状態を保ちます。

また、授乳に備えて乳腺を発達させるのもエストロゲンの働きです。エストロゲンは妊娠中には乳腺を発達させるのと併せて、母乳の分泌を抑えていますが、出産後は分泌が低下する為、赤ちゃんの為の母乳が出るようになります。

妊娠中に良い体調を保つために必要なこと

妊娠すると、赤ちゃんを育てるためのホルモンバランスの変化によって、通常とは違う身体の状態になり、心も体も不安定になりがちです。約10か月続く妊娠の期間を無事に過ごし、健やかな赤ちゃんを出産するために必要なポイントを確認しておきましょう。

妊婦検診

かかりつけの産婦人科で指定されている定期健診は、体調が良い場合にも必ず受診することが大切です。自分では気がつくことのできない体調の変化をチェックしてもらえます。

体調の変化の種類を見極めること

眠気やだるさ、腰痛など妊娠中には体調が変化するものですが、我慢しなくてはならない体調の変化妊娠の状態に異常が起きたシグナルとしての体調の変化があります。

お腹が強く張る、下腹部に痛みがある、出血がある、織物の色と匂いが変化しているとった体調の変化を感じたら、すぐにかかりつけの産婦人科に連絡しましょう。

妊娠悪阻

悪阻には、妊娠中にはほとんどの人に起こる悪阻と、通常の悪阻よりも症状が重く脱水症状を起こしてしまう妊娠悪阻があります。吐き気、嘔吐、下痢、頭痛など起こる症状には個人差がありますが、食物も飲み物も受け付けることができなくなり、命にかかわるような状態になることもあります。悪阻の症状が重い、妊娠12週を過ぎたのに悪阻が治まらない、体重が2キロ近く減少したといった場合には、かかりつけの産婦人科に連絡しましょう。

口腔ケア

妊娠中はホルモンバランスの変化、悪阻による嘔吐で口内が酸性に傾きやすいこと、食事時間が不規則になりやすいことなどから、口内環境が悪化し、歯周病を発症しやすくなります。歯周病を発症すると、早産のリスクが高まってしまうので、口腔ケアをしっかりすることが大切です。

心のケア

妊娠中には妊娠出産に対する不安、変化する身体への不安と不満などから、ストレスが溜まりやすい精神状態になってしまうことがあります。そのような時にストレスを解消できない状態が長期間続くと、体調にも影響します。そして体調が悪くなることでよりストレスが大きくなり、お腹の赤ちゃんに十分な栄養と酸素が届かなくなってしまいます。

妊娠に対する不安は、かかりつけの産婦人科や、助産婦さん、周囲にいる妊娠経験者に相談する、生活全般に対する不安や不満は夫に相談するなどして、一人で抱え込まないようにしましょう。

まとめ

妊娠中には体調が変化して、心にも体にも辛い時期が続くこともありますが、いくつかのポイントを押さえて無事に健やかな赤ちゃんを出産する日までゆったりした気持ちで過ごしましょう。